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2011.07.07 Thursday |  | - | - | - | 

7.父さんへの手紙 11月19日

◆2001.11.19◆

今、家に帰り着いたよ。

一昨日、母さんから緊急の電話をもらったときには、気持ちばかり焦るのだけど、何からしたらよいのかまるっきり考えられなくて、とにかく家の事をちゃんとしておかないととだけ思って、炊事や洗濯をしていた。

しながら、なんでこんなことやってるんだ。今家を飛び出して新幹線に乗ったら、もしかしたら、まだ息をしている父さんに会えるかもしれないのに。。あとで家の事なんかをやった自分をすごく悔やむのだろうなと思ってた。

新幹線の中で、いろいろ考えたよ。
もしかしたら父さんはもう息をしていないのじゃないか、それを母さんは黙っているのではないか。。。こっちから電話してみようか、、いや、それはやっぱり出来ない。。。

こんなことを考えていたから、あっという間だった。

でも、良かった。父さん。まだ目を開けていた。
私のことがわかるのに一晩じっと考えてみたいだね。
次の日の朝、やっと「帰ってきたんか。」と言っていたね。。。

父さんはもう現実の世界にはあまりいないのだけど、時々ふっと現実に戻ってくるって母さんがいっていた。私も父さんが戻ってきた時がわかったよ。母さんのことをじっと見て、笑ってるもん。

今日の朝「自動車に乗って・・」といっていたね。
母さんが「義兄さんの車に乗って父さんはどっかに行きたいんだ。」と言っていた。
「今日は寒いから明日暖かくなったら、みんなで行こうね。」と言うと、父さんは安心したように、笑っていた。
母さんが「父さんおいてどこにもいったりせんから。」と言っていたね。。。。

昨日の夜中、星がいっぱい流れたよ。父さんにも見せたかった。
私はね、父さん、世界中のみんなに非難されてもいいから、昨日の流れ星、全部独り占めしたかったよ。
星全部にこうお願いをする。。「とうさんをちょっとでもいいから歩かせてやってください。とうさんに外の空気を吸わせてやってください。とうさんに燃えるような紅葉を見せてやってください。とうさんにかあさんを抱きしめるだけの力を与えてやってください。」
・・・世の中に困っている人はたくさんいるのに、私ったら、なんて人なんだろうね。

今日家を出るとき、父さんはとうとう目を開けなかった。私はとうさんの白髪頭を触らせてもらったよ。ずっと触っておきたかったけどね。仕方ないね。ほんとにきりないし。。。

とうさん、ありがとうね。ちゃんと私だっていうことわかってくれて、「大丈夫やから汽車に乗って帰れ」って言ってくれて。。だから、私は、ちゃんととうさんと「お別れ」できたんだよ。だからね、私にお礼なんて言わないでよ。とうさん。。

母さんが「次がきっと最後やから、そのときは、もうゆっくり来たらいいんだよ。」って言っていた。「私は何回でも行くよ。日帰りだってする」って言ったら、かあさん、あとは母さんの仕事やからって。。。

ほんと、とうさんは幸せ者やね。かあさんがいっとったよ。とうさんがどうしても退院して家に帰りたいと言ったんで、ダメだというお医者さんを説得して家に連れて帰った時、「あんたと結婚して本当に良かった。」って言ったんだって。

周りに他の人いたのに、言ったんだって。かあさん、うれしそうに話してくれたよ。ほんとに、最後の最後まで、のろけだもんね。。まいったな。

2007.03.18 Sunday | 22:46 | comments(0) | trackbacks(0) | My Family | 

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2011.07.07 Thursday | 22:46 | - | - | - |