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2011.07.07 Thursday |  | - | - | - | 

4.父の手

<父の手>  2001.7

はい、ただいま。

往復24時間の船旅を終え、ゆっくり旅ができたなぁと至極満足の小春せんせです。

九州の港へ着くまで海を見ながらいろんなことを考え、不安で胸がいっぱいでした。

港へ降り立ったとき、いつもの汐の匂いがしました。これが私の育ったところの匂い。
小さい頃、周防灘へ潮干狩りにいった。自分で獲ったものを初めて自分で食べた。
あさりの身がふくっらして美味しかった。
かぶとガニがいてびっくりした。砂浜に宝物を隠してどこにいったか分からなくて悲して泣いた。

海が嫌いな母がしぶしぶ連れていってくれた海水浴で、父が遠泳して姿が見えなくなって大声で呼んでいると、遠くの方で手を振ってる父が見えて、ほっとすると同時に、なんて泳ぎが上手いんだろうと、感心したことを思い出した。

…門扉をくぐり玄関までの小さい花壇は母が丹精した花達でいっぱい。
忙しくても花を育てることを忘れていないようで、ちょっと、安心。

寝ている父を起こしたらいけないと思い、こっそり部屋に入ると、目がふっと開いた。
微熱のせいか、頬が少し赤らんで、手が温かい。
でも良かった。手が温かい。

少し話をすると喉が乾いたというので、桃をむいて小さく切って口にいれてあげた。
美味しそうに食べていた。4切れ食べて、
「お腹すいただろ。おまえ、食べなさい。」といって残りを私に食べさせようとする。
お腹はすいてなかったけれど、残りの一切れをぱくっと食べたら笑っていた。

「少し寝るから」というので「うん、じゃ、目が覚める頃にまたここにいるから。」といって手を握っていると、そのまま寝た。

寝顔がとても静かで幸せそうだった。

大きくなってから、父の手に触れたのは初めてだった。
おとうさんの手というのはこんなものだったのかと初めて思った。

身が落ちてしまって、枝のようになっている腕だけど、わたしにはなつかしいお父さんの手だった。

父のもとへ帰ったら、したいと思っていたこと、一つできて、うれしかった。。。


2007.03.14 Wednesday | 22:22 | comments(0) | trackbacks(0) | My Family | 

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2011.07.07 Thursday | 22:22 | - | - | - |